中国のリーマンショック級の危機が避けられないと考える理由について 

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中国の膨らみ続ける負債はいつ破裂するのか?

近年のマーケットの動きを見ると分かるのですが、とにかく中国の負債の増加に非常に怯えています。実際に民間債務がGDPの200%超え(香港に至っては300%超え)。過去の例から見てもこの水準になると、景気減速からの経済危機が起こる可能性が非常に高いと考えられていますし、実際に何度もそのような状況になると危機が起こっています。

企業債務残高は既にアメリカ越え

少し古いデータですが2017年7月-9月期の企業部門の債務残高を見てみます。これを見た瞬間に、「もう無理だな…」という感想しか生まれなかったです。GDPがアメリカの半分でしかないのに、企業債務残高は既にアメリカを超えているという事態。ただこれは特殊な要因というか、中国の中で国有企業向けの融資は国が必ず保障するだろうという暗黙の了解があるために、増えているという事情があるでしょう。ここまで膨らんでしまうと、さすがにこれ以上の融資の拡大は難しいでしょうし、各金融機関も二の足を踏む状態になっています。つまり、金融緩和による融資の拡大で経済成長を促そうとしても、さすがにその余地が企業部門ではもう無いというのと、これから拡大よりもこれから調整が起こる可能性の方が高いと考えます。

上記フラフは「内閣府資料より」

金融政策では既に打つ手は無いのではないか?

もちろんこのデータは中国でも把握し問題視していたので、2018年には金融引き締めに動きました。その結果として、2018年の後半位から急速に自動車販売等の急激な落ち込みが見られるようになりました。特に2018年年末辺りには、中国の新車販売が連続して二桁減や大手IT企業のリストラなどが相次ぎました。その結果を受けて、2019年には政策を転換させて、金融緩和に動いたものの新車販売の落ち込みが緩和された程度で前年同月比プラスまで回復の兆しは今の所無いです。つまり、膨らみ続ける債務に対して、金融引き締めに動いたところ、急激に危機が起こる可能性が高まり、企業の債務を健全なレベルまで戻すことの難しさが浮き彫りになる状況が見えてきました。つまり、このままいけば際限なく緩和するしか打つ手が無く、緩和を続けることは、先送りでしかなく破綻した時はより大きな破綻が待っているだけですが、政治的な要因も考えるとここで大鉈を振るう決断を下すことは困難を極めるでしょう。今は苦しくても耐えてくれという政治的な決断を出来ない限りは、緩和チキンレース一択という状況です。

今まで大丈夫だったからこれからも大丈夫なのではないか?

これに関しては確かにその可能性がありますし、リーマンショックの危機を何とか乗り越えたように、今回も何とか乗り切れる可能性がゼロではないと思います。それに民間債務が大体160%~200%付近まで膨らんだ所で、危機が起こってるかといって、必ずそれが発生するというわけで無く、あくまでも過去の数例から判断すると、その辺りが目途という話です。つまり化学反応のように明確な閾値が設定されている訳ではありません。各国ともに状況は大きく違いますし、その時の金融政策にも大きく左右されます。実際に香港は300%まで耐えています。経済規模によっても変わるでしょうし。つまり、民間債務を200%超えたから直ちに危機が発生するという訳ではないです。あくまでも、そのくらいなると危険度がかなり上昇するだろうという経験則です。ですので、多数がまだ大丈夫だと判断して、中国への融資の返済を求めないのであれば、緩和チキンレースは継続します。しかし、実際には中国の企業の資金繰りは相当厳しいと考えます。

企業のデフォルトの増加報道が目立つように

今年の7月に内モンゴル自治区の銀行を20年ぶりに公的管理下に置きました。これは非常にサプライズでありまして、今まで市中銀行に対しては当局が100%の支援を提供するとの長年の暗黙の了解があったのですが、これが破られることになりました。実際にそういった暗黙の了解があったからこそ、企業向け融資(特に国有企業向け)が急速に膨らんだともいえます。しかし、今回の措置を受けて各銀行も「もしかして支援を受けられないかも」という疑念が生じる事が避けられない状況で、無分別に融資を拡大する事が難しいでしょう。つもり政府が企業向け融資の拡大を促しても銀行がそれに対して忖度しない可能性が高まりつつあります。つまり、今後は緩和チキンレースの継続すら難しくなる可能性が出てきている事です

整理すると

・GDPがアメリカの半分なのに企業債務残高はアメリカを超えているのを成長による健全な負債の増加だけで片付けるには無理がある。
・20年ぶりに市中銀行を管理下に置くインパクト
・記事の中では触れてないですが、急速に進む高齢化と労働力人口の減少による成長の鈍化アメリカ依存度がかなり高い中での米中貿易摩擦など、今後の成長への疑念が高まる状況
急激に落ち込んだ新車販売などが示す中国の個人消費の落ち込み

以上から考えても、膨らみ過ぎた(と判断してもいい)企業債務が、今度は拡大ではなく調整の方向へ動く可能性の方が高く、その過程でオーバーシュート(危機)が発生する確率が上昇すると考えています。

次は中国回復のメインシナリオについて書ければなと思ってます。

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